世界一有名な米国のワイン評論家ロバート・パーカー。
彼がフランスの雑誌「テッレ・デ・ヴァン」のインタビューに応じ、生産者がパーカーの好みに合わせたワインを造る「パーカリゼーション」の考え方を否定した。
パーカリゼーションとは、リッチな味わいを好むパーカー氏の嗜好に合わせたワインが増えている状況を指す。これについて、「私の好みは複雑で、黒か白かで割り切れない多様性がある」と批判。
「パプ・クレマンのフィネスとエレガンスも好きだし、ペトリュスやトロタノワのなめらかさも好む」と述べた。
また、ボルドーは世界のワイン産地で最もお買い得な産地の一つであると述べ、「1978年に評論を始めた時はボルドーの世界クラスの銘柄は35しかなかったが、今日はおそらく300~400ある」とした。その上で、コート・ド・ボルドーやサンテミリオン衛星地区に低価格で素晴らしいワインを産する生産者がいると指摘した。
パーカー氏は、自らがボルドーの1級やスーパーセカンドの価格高騰に役割を果たしたことは認めた。
一方で、自らの35年間にわたる105回の訪問旅行のおかげで、ボルドーがより良いワインを生産し、世界に知られていると語った。
と、彼は述べています。
パーカー自身が彼好みのワインを造らせたわけではありません、それは分かります。
しかし、点数表記等という最も分かりやすい形で彼の嗜好に近づける生産者が少なかったかというとウソになります。
特にボルドーは先物のような先行投資ですから、点数一つで途方も無い価格が付きます。
ワインが世界中に広まるに連れて、ワイン消費新興国では初めてワインを飲む人達が好む分かりやすい味わいが市場から欲せられる、それに伴い100点表記のパーカーの評論は分かりやすく大きなバロメータとなります。
更に世界的に温暖化で糖度も上がり濃密なワインが出来やすい。
それにニューワールドの台頭で開けたてから美味しいワインが増えてきたため長く熟成を要するワインの価格と難しさから敬遠されやすいなど様々な理由があります。
ワイナリーによっては市場の機を見て必要とされているスタイルに素早く反応しワイン造りを行っているところまであります。
パーカーの力が弱くなってきたとはいえ、個性あるワインが減ってきていたのは事実です。
彼自身も人間でワインの評価も当初より変化しているのは間違いなく、濃厚なワイン一辺倒の評価ではありませんが。
今では年齢も重ね、アドヴォケイト誌では異なるテイスターが評価をし始めています。
世界市場では地場品種や自然派ワインの台頭で伝統国からは画一的なワイン造りから脱却する動きも出ていますし、それは歓迎すべき事柄です。
一方で中国などの大量にグランヴァンを消費する国の富裕層がパーカーの点数を頼りにワインを消費するのは明白です。
日本もワインブーム、バブルの頃は今の中国と変わりません。
今の日本でも各自の舌(好み・嗜好)で評価を決められることはゆっくりで市場が成熟するのは多量の時間が必要です。
パーカーのその分かりやすい批評によって、難しいとされてきたワインの世界に触れることが人間も多いですし、各地の生産意識の競争で醸造技術などのレベルがどんどん上がったこと、無名だった優良ワインや地域にスポットが当てられたなど功の部分もありますが先に述べた罪の部分も大きいと感じます。
いや、ちょっと違いますね、パーカーは商業的に迎合していたわけではないので彼自身ではなく、鵜呑みにしていた人間に罪があるといったほうがよいですね。
日本では現在自然派ワイン、日本のカリスマ生産者など一部コアなマニアがいますが、各々の舌で一本のワインを判定出来ている人は稀です。
本当にそのワイン美味しいと思ってんのと言いたくなりますが堪えています(笑)
初めてワインを飲む人の方がよっぽど評価できているとさえ感じます。
まあ、本人が良くて飲んでいればそれで良いんでしょうが…
右向け右の日本人らしいですね。
パーカーが好みが多様だと述べたのに評価を始めてから30年以上の月日がたっています。
さて我々が他の評価や価格、誰が造ったなどの付加価値を排除し自信を持って自分の好きなワイン、スタイルを宣言し選んでいけるまでどのくらいの時間を要するんでしょうか…。
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