さて、昨日のブログの オレゴンのワイナリー、ケン・ライト・セラーズ(Ken Wright Cellars)ですが、詳細を。
オレゴンのカールトンの町にあるケン・ライト・セラーズはウィラメット・ヴァレーの最上の葡萄畑のテロワールをそのまま表現した単一畑のピノ・ノワールに専念。
又、ワイン造りは葡萄が全てと考え、偉大なワインは偉大な葡萄畑で造られるとの考えから最適な土地選びと葡萄畑の状態を最大限に重視。
凝縮した複雑なアロマとシルキーな質感を生み出す低収量への拘りなくしては偉大なワインは造ることが出来ません。
そして人力の介入を最小限にし自然の贈り物をそのままに保つ事が極めて重要ということがケン・ライト・セラーズの哲学であり信念。
ケン・ライトはこの地の先鋭的パイオニアであり、慈善活動にも積極的に参加し、ウィラメット・ヴァレーの北部のAVAの認可にも大いに貢献。特にヤムヒル・カールトンAVAの認可においては、協会の初代会長も務めています。
ケン・ライトはカリフォルニア・デイヴィス校を卒業して後、モントレーでブルゴーニュ品種のワイナリーで経験を積み、オレゴンにあるディーゼルエンジンの発電所跡に1984年にパンサー・クリークを創業(1994年売却)。
その後、最高のピノ・ノワール造りを志し、1994年にカールトンでケン・ライト・セラーズを設立したのです。
ちなみに有名なドメーヌ・セリーヌのワインも90年から97年まではケン・ライトが造っていたことはあまり知られていません。
さて、日本に入ってきている4つのヴィンヤードですが、それぞれ、
ヤムヒル・カールトンAVAのサヴォイヤ・ヴィンヤード、グアダルーペ・ヴィンヤード。
エオラ・アミティ・ヒルズAVAのカナリーヒル・ヴィンヤード、カーター・ヴィンヤード。
ヤムヒル・カールトンのサヴォイヤとグアダルーペはブルゴーニュだとコート・ド・ボーヌ的といわれますが、野暮ったさよりもニュイの最上クラスのフィネスとエレガントさを秘めていると私は感じます。
ヤムヒル・カールトン地区には1980年代後半と1990年代初頭に葡萄樹が植えられ、そこは「ウィラケンジー」と呼ばれるエリアで、ウィラメットとマッケンジーの二つの川の名にちなんだ土壌名。
岩が砕けた砂岩の交じった堆積土壌で砂の含有量が高い土壌になるほど、水捌けが非常に良い。
ワインは、赤い小さな果物にココア、皮革、スパイスのアニス、クローヴの要素を含んだアロマを持つ。
酸のレベルは一般的に他の産地より低い目で、豊富な果実味が若い頃から心地良く示すようになります。
東向きのサヴォイヤは堆積土壌ならではのスパイシーさと黒系果実が顕著。シャンボールのグランクリュクラス。
南南向きのグアダルーペはウィンディスヴィルとディジョン115のクローン。ヴォーヌ・ロマネのグランクリュクラス。
エオラ・アミティ・ヒルズのエリアが主に開発されたのは1970年代半ばから1980年代初頭にかけて。
このエリアの最も一般的な土壌は「ネキア」と呼ばれ、乾燥しやすい土壌で果実が早く完熟する。
黒い小さな果実、ブラック・チェリー、プラムやカシスの印象のアロマを含み、自然に他の産地に比べて高い酸を持つ事が可能なのが特徴で、ストラクチャーがしっかりとして、長期熟成の可能性を秘めたワインとなる。
カナリー・ヒルは東向きの斜面の日照条件の良さに加え、ディジョン114と777、ポマール・クローンとそれぞれのクローンの複雑さが混ざり合いモレ・サン・ドニのグランクリュような繊細さと黒系果実の享楽的なリッチさも併せ持ちます。
カーターはディジョン114と667、777を使用。西向きの斜面で夕方まで日照条件が良く、カナリー・ヒルよりも力強さが増して、シャンベルタン、マジかクロ・ド・ベーズ的ニュアンス。
個人的にはブルゴーニュに近くバランスの良いのはサヴォイヤの畑かなと。
でも全部のキュヴェ、驚く旨さです
但し、ヤムヒムよりもエオラ・アミティ・ヒルズの方が相対的に酸が感じられるのでやはり厳密なブルゴーニュとの違いは感じられます。
しかし、ニューワールドともオールドワールドとも違う可能性を持ったオレゴンのトップワイナリー。
どのキュヴェも甲乙付け難く、長期熟成して更なるテロワールの違いを見せてくれることでしょう。
ピノファンの方は避けては通れない道かもしれません…。
Oga
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